今回は、中学生の娘を持つ専業主婦の松本 敦子さん(仮名)が、ご自身の価値観と娘の成長についてをお書き頂きました。

生まれ育った家庭環境の否定と、その結果について参考として頂ければ幸いです。

 

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○「女の子は家事をやるのが当たり前」それって本人は納得できますか?

 

昔、私が中学生の頃は「女の子なんだから、家事ぐらい出来ないと将来自分が困る」と言われて、色々と家の手伝いをやらされた記憶があります。食事の支度はもちろん、買い物やお掃除、洗濯物を畳んだり、庭の草むしりをしたり。4歳違いの兄は何もやらないのに、女性ということで妹の私にだけ家事をさせられることに抵抗を感じなかった訳ではありません。親から何かを教えて貰い一緒に家事をやる事は楽しかったですが、遊びとは違うので「やらなければいけない」と思うと嫌でした。

特に、父が「ご飯のおかわり」を私にだけ頼むのは納得できませんでした。食事の最中に自分のご飯が無くなると、私にご飯をよそってくるように言うのです。ご飯を食べている最中に用事を言いつけられれば、食事を中断することになりますから、「ご飯のおかわりぐらい、自分でやって」そう父には何度も言ったのですが、昔の人である父が変わることは無かったと思います。自分は食事を平気で続け、兄や母も一緒にテレビを見て談話しているのに、私だけ父のお茶碗を持って、台所にご飯を取りに行くのは理不尽だとずーっと思っていました。それは中学生の思春期・反抗期という気持ちだけでは無かったと思います。

「中学生の家事分担は、本人が自分で納得できるものをやる」という私の考えは、自分の中学生の頃の経験によるものが大きいのかも知れません。

 

 

 

○忙しい中学生。我が家でも家族で話し合って家事分担を決めました

 

 

現在我が家は3人家族で、専業主婦の私と夫そして中学生になる娘がいます。娘が家のお手伝いを色々とするのは、時間的になかなか難しいと言えるでしょう。学校と部活、塾そして習い事(娘の場合はピアノ)で、いつもバタバタしているのです。今の中学生は忙しい・・・そう感じるのは私だけでしょうか?私の頃ももちろん高校受験もありましたし、部活もやっていました。でもどこか余裕があった気がします。少なくとも夕食は家族一緒に食べていましたが、今はそれも出来ない日があるのですから、生活サイクルが今と昔では違うのでしょう。

 

 

娘が定期的にやっている家事分担は2つ。塾の無い日の夕飯準備の手伝いと缶やペットボトルのゴミ分別です。どちらも娘本人と話し合って、納得してもらった家事分担なのです。

 

 

最初は、娘も忙しいので親としても「家事をやらなくてもかまわない」と思っていました。取りあえず、勉強を頑張ってもらうだけでも良い、やりたくない家事をやらせる必要もない、とひとりで勝手に決めていました。でもそれは、娘にとって必ずしも良い訳ではなかったようです。

 

 

 

○少しずつでも家事をやらないと、友達の前で困った事に・・・

 

 

娘の中学校では、1年生の2学期に「宿泊学習」といって、隣町の宿泊施設で泊まりがけの授業があります。夕飯も子ども達でグループに分かれて自炊。いつも定番のカレーライスを作るようです。人参やジャガイモ、玉ねぎを剥いて切って、肉と一緒に炒めてカレールーを入れて煮込むだけのもの。娘も私と一緒にカレーライスは自宅で何度も作りました。加えて宿泊学習の前にも練習でカレーを作ってみました。だから、娘もそれなりにカレー作りに自信を持って宿泊学習に参加したのですが、帰ってきた娘に「カレー上手に出来た?」と聞いたら・・・「私は作らなかった」と言うのです。驚いて確認すると「カレーはもっと上手な子達が作っていた。自分はお皿を並べる係になったの」とのこと。

 

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他の子達は普段から料理をしているので、娘の出番は無かったようです。友達から「○○ちゃん(娘)はジャガイモを剥くのも危なっかしいから」と言って包丁も取り上げられ、皆のお皿やコップ、スプーンを用意することしか任されなかったとか。確かに娘は不器用なので、カレーを一緒に作る時も包丁はあまり使わせませんでした。ジャガイモは皮付きのまま蒸し器に入れて蒸し、娘には蒸し終わったジャガイモの皮を手で軽く剥かせていたのです。人参もピューラーで皮を剥いて、イチョウ切りにするだけ。難しい包丁さばきはほとんどしていません。そんなことだから包丁の使い方が慣れていなくて、友達も娘は料理をしたことがないと誤解されてしまったのかも知れません。

 

 

宿泊学習の一件で娘はショックを受けて「ご飯を作るお手伝いする」と言ってくれました。それから、少しずつ料理の色々なことを覚えてくれて、ジャガイモはもちろんリンゴの皮むきも上手になり、塾の無い日の夕飯準備もできるようになったのです。

 

 

とは言っても、娘がやるのはあくまでも「夕食の準備」です。具体的には「フライするものに衣を付けておく」とか「サラダにするための野菜を切って、水にさらしておく」といったところまで。私が仕事から帰って来てから、夫の帰宅を待ってフライを揚げたり、野菜を盛りつけたりします。娘に言わせると、フライは温め直すよりも、揚げたてを食べた方が美味しいと言いますし、この準備をしてくれるだけでも本当に助かるので充分です。

 

 

塾のない日は出来るだけ家族3人で顔を揃えて食事をしたいので、娘の案をとり、娘の家事分担は「夕食の準備」で、夕食を作るのは母親である私の仕事としました。でも、親が強制するのではなく、娘が自分と家族のために家事をやってくれるので、とても嬉しいです。

 

 

 

○自分の為に出来る範囲での家事分担もOK

 

 

もう一つの娘の家事分担は「ゴミの分別」です。娘の中学では3ヶ月に一度、アルミ缶とペットボトルの蓋の回収があります。これをスムーズに行うために、娘は自分でゴミの分別をするようになりました。飲み終わった缶を流しに置いておくと、娘は自分でゆすいでアルミ缶、スチール缶に分けたり、ペットボトルは中を洗ってラベルをはがし、ラベルは他のビニールと一緒にまとめて、ペットボトルはペットボトルの箱に、そして蓋は一カ所にまとめます。

 

 

学校に持って行く回収の量が少ないと、友人から何か言われるらしいので、これは一生懸命やっています。出来れば、他のゴミ(例えば生ゴミ)などの分別もしてもらいたいのですが、これは興味が無いので無理のようです。あくまでも、自分のためにやっている「ゴミの分別」なのでしょう。それでも自分の仕事としてやっているので、親としては良いと思っています。

 

 

娘の家事分担はこの2つですが、一度家族で決めたルールなので、娘も文句も言わずにやってくれています。私の夫は私の父とは違い「女性だから家事をやるべき」という事はなくて、「家族の中で家事はやれる人がやる」という主義です。ご飯も自分がもっと食べたいと思うと、自分の分は自分で持ってくるので助かります。だから娘も「女性だから・・・」「何で私が・・・」という思いは無いようです。確かに今は家事を女性だけがやるという時代ではなくなってきているのでしょう。

 

 

 

○家事も時代によって変化してきましたね。そして家事分担も・・・

 

 

私が子どもの頃と今とでは、家事も随分と変わってきました。スーパーも遅くまで営業するようになったし、コンビニも身近となったので惣菜もお弁当も簡単に買えますから、時間がない時は無理に頑張って作ることもないのです。でも、家の中で家事をしていないと友達の前で出来なくて恥ずかしいと思うのも中学生なのでしょう。私自身は不満に思いながらも家の手伝いをやらされていたので「恥ずかしい」という経験がありませんでした。娘に「自分は友達と比べて包丁の使い方が出来ない」と言われて初めて気がつき反省したのです。

 

自分の価値観だけで判断するのは「女の子が家事をするのは当たり前」と思っていた父と同じといっても良いでしょう。便利な世の中だけれども、自分一人でも困らない程度の家事を覚えるために、その時その時に合わせた家事分担が必要なのだと思い、娘の成長に合わせて家事分担も変えていく事になると思います。