働き方改革が進み、主に富裕層を中心に利用されてきた家事代行サービスも共働き世帯をはじめとした幅広い人々に注目されはじめてきています。
弊社にも家事代行に関して数多くのご相談をいただきますが、残念ながらお断りさせていただく内容もございます。今回は「家事代行サービス業者にお断りされやすいご依頼」をまとめました。これからサービス利用を検討している方の参考になれば幸いです。
目次
【前提として】家事代行サービスの事情
昨今、共働き世帯や子育て世帯の家事負担軽減、テレワークの広がりによる「おうち時間を快適にしたい」というニーズの高まり等、様々な課題解決策として家事代行サービスは大変注目を集めており、全国的に利用者が年々増え続けています。その反面、家事代行サービス従事者のなり手が少なく、深刻な人材不足がサービス提供各社の課題となっている現状があります。
人材不足を解消するために、東京都・神奈川県・大阪府などの大都市圏では、国から認可を受けた企業が国家戦略特区制度でフィリピンから家政婦人材の採用を積極的に進め、サービス展開を行なっています。なぜフィリピンから家政婦人材を採用しているかというと、フィリピンは国内に家政婦の養成学校を設け、家政婦に国家資格を与えており、資格を取得した人材は国内外を問わず世界中でプロとして活躍している世界的な家政婦大国だからです。
このような背景がある中で、家事代行サービスを提供する企業は、家事代行スタッフに長く働き続けてもらえるようES(従業員満足度)を常に意識して活動を行っています。
また、家事代行サービスはお客様宅で依頼主と家事代行スタッフの1対1のコミュニケーションとなるため、長く続けてもらうためにお互いの信頼関係構築が非常に重要となります。作業時間に対してあまりにも膨大な作業量の依頼や契約外の作業の依頼、スタッフに対するあらゆるハラスメント等があれば、せっかくマッチングした家事代行スタッフに継続して来てもらうことは難しくなります。
また、お客様の「当たり前」と家事代行スタッフの「当たり前」は当然異なるので、契約開始最初は「どのように掃除をしてもらいたいか」、「求める仕上がりはどのようなものか」、「自身のこだわりやルール」についてしっかりと家事代行スタッフに伝えることで後々のトラブルを未然に防ぐことができます。
長く安定してサービスを受け続けるためにも、正しいルールの中で双方が気持ち良く依頼・作業を行える環境を作る意識が利用する際の非常に大切なポイントとなります。特に外国人の家政婦スタッフは慣れない異国での仕事となるため、作業の指示を意識して簡単な日本語でおこなう、質問や相談にはしっかり耳を傾ける等の些細な気遣いで良い関係性を作っていくことができます。
家事代行サービスでお断りされやすいご依頼
前置きが長くなりましたが本題です。基本的に弊社でお断りした例などを上げるため、他社では対応出来る場合がありますのでご注意ください。
極端に汚い部屋
いわゆる「ゴミ屋敷」のような日常のお掃除では現状復帰が困難な場合や、食事の食べ残しやペットの糞等で室内が汚い場合、衛生上の理由から作業をお断りされるケースがあります。
あくまで家事代行は日常の家事の代行サービスであるため、室内が上記のような場合はハウスクリーニングや特殊清掃で一度お部屋をキレイな状態にし、その状態を保つために家事代行サービスをご利用されることをおススメします。
早朝や深夜、住み込みでの作業
「朝6時に来て朝食を作ってほしい」、「住み込みで作業をしてほしい」等の早朝や深夜、住み込みの作業もお断りされやすい理由の一つです。
スタッフは基本的に公共交通機関でお客様宅へ移動するため、あまりに早い時間帯や遅い時間帯は移動自体が困難となります。また、家事代行スタッフのなり手の大多数である主婦(夫)は自身の家庭もあるため、日中以外の時間帯での対応が難しいという点も断られる理由として挙げられます。
住み込みについては、海外では一般的なケースもありますが、日本ではその文化は浸透ししておらず、通いでのサービス提供が一般的となっています。そのため住み込みで働けるスタッフを探してもなかなか見つからず、、、、というお話をよく耳にします。また、スタッフの安全で適正な労働環境の確保の観点から、上述の国家戦略特区制度では住み込みでの契約自体を禁止としています。
エアコンクリーニングやワックスがけ
家事代行は一般家庭にあるお掃除道具で日常の清掃を代行するサービスであるため、専門的な知識や器具、洗剤が必要となるエアコンや換気扇内部のクリーニング、ワックスがけ等の「ハウスクリーニング」はお断りされる作業の一つです。ただし、家事代行会社は自社の別部門や提携会社でハウスクリーニングを引き受けている場合もあるため、相談してみるのはいいかもしれません。
体に触れる行為
家事代行サービスでは基本的に触れる行為は禁止となっています。マッサージやストレッチの手伝い、怪我をしているので肩を貸してほしい等の依頼でもお断りされてしまいますのでご注意ください。
介護/医療
例えば「お風呂や食事の世話をしてほしい」、「トイレに行く手伝いをしてほしい」と言った介護のお手伝いや、「薬を飲ませる手伝いをしてほしい」といったサポートは一般的な家事代行サービスでは引き受けてくれないケースが多いです。家事代行スタッフはお掃除の知識はあっても、介護や医療の知識まであるわけでないので注意しましょう。
家事代行サービスは何をお願いできるの?
一口に家事代行サービスといっても、依頼できる作業内容は多岐に渡ります。また、各社対応できるサービス範囲が異なるため、自分の依頼したい作業を引き受けてくれるかどうか契約前に確認しておくことが重要です。
掃除代行
家事代行サービスの依頼内容として最も多いのが掃除代行です。会社によって対応できる範囲に多少の差はありますが、一般的に依頼できる内容は以下となります。
- 水回り(お風呂、洗面所、トイレ、キッチン)
- 掃除機がけ
- 窓や床の拭き掃除
- 掃き掃除
- ホコリ落とし
- 玄関、廊下掃除
- 庭掃除
- ベランダ掃除
家事代行サービスでは、たとえば水回りであれば排水溝や水アカ、カビ落とし、掃除機がけであればカーペットやソファーの下など、普段なかなか手の届いていないところまでしっかりキレイにしてくれますので、自分のお掃除とは一味違った仕上がりになるのが嬉しいポイントです。
洗濯代行
洗濯物を洗う、干す、畳むといった一連の流れをお願いすることができます(もちろん洗うだけ、畳むだけというように一部分だけの依頼も可能です)。
- 洗う
- 干す
- 畳む
- アイロンがけ
洗濯を依頼する場合、洗ってはいけない衣類の確認や干し方、畳み方の注意点の共有はトラブルを防止するためにしっかりと事前に打ち合わせておくことをおススメします。
料理代行
昨今、家事代行サービスの中で人気が高まっているので料理代行です。たびたびメディアでも取り上げられているのでご覧になったことがある方も多いのではないでしょうか。一般的には以下内容が依頼できます。
- 夕食作り
- 作り置き
- 下ごしらえ
お料理は味の濃さや味付けの好みが家庭ごとで異なるため、自分の好きな味の料理を作ってくれるスタッフとマッチングするまでなかなか苦労するというお話を聞くことがあります。いきなり1人の人と契約するよりも、単発で色々な人の料理を試しつつ、マッチする方を探してみるのもいいかもしれません。
整理整頓
整理整頓サービスでは以下の内容が依頼できます。
- 片付け
- 断捨離
- 衣替え
「片付けが苦手でどうしてもできない」、「子供がすぐ散らかしてしまう」といったお悩みを持つ方からや、「部屋はキレイだけどクローゼットの中が・・・」という方から依頼を多くいただいています。
整理整頓を頼んだ後に、「あれ、○○が見当たらないけどどこに片付けたのかな?」ということがないよう、片付けのルールやどこに仕舞うかの指示はしっかりと行いましょう。
買い物代行
家事代行サービスではお買い物の代行も依頼できます。「テレワーク中で買い物に行けないけど夕食の食材を買わないと・・・」というときはぜひ活用しましょう。
一般的に買い物代行では以下範囲となります。
- 食料品/日用品の買い物
- クリーニング
買ってきてもらいたい商品にこだわりがある場合は事前にその商品の写真をスタッフに見せておくとよいでしょう(特にスタッフが外国人の場合はこの方法をおススメします)。支払いについては立て替えを行なっている会社とそうでない会社があるため、依頼前に確認しておきましょう。
家事代行サービスの上手な使い方
最近ニュースやドラマなので話題の家事代行サービス。既にお使いの人が増えていますが、これからお使いになる人も効率よく使うにはどうしたらよいかをご説明します。
家事代行サービスで満足するためには、会社選びも重要ですが、それと同じくらい重要なのが、いかに上手く作業の依頼をするかという点です。そこで、ここでは家事代行サービスを賢く使うための効率のよい依頼方法をご紹介します。
家事代行を依頼する際の大事なのは、下記の通りです。
- 依頼内容を箇条書きにし、スタッフと会社に共有する
- 依頼内容の優先順位をつける
- スタッフが慣れるまで作業終了後にはフィードバックをする
- スタッフには必要な道具や洗剤の不足がないか確認する
次にそれぞれの内容について説明します。
依頼内容を箇条書きにし、スタッフと会社に共有する
家事代行スタッフに希望通りの作業をこなしてもらうために重要なのは、依頼する前に作業内容を箇条書きにして共有しておく事です。口頭での指示だけだと作業内容を忘れてしまったり、再度確認され時間を無駄にしてしまったりします。特に在宅ワーク中であれば、何度も確認されると煩わしいので、事前に箇条書きにしてメモにするなどで共有しておきましょう。
家事代行スタッフは、様々な家庭で作業しており、それぞれ異なるルールがあるので、一つ一つの細かい作業内容を暗記することはかなり難しいです。そのため、スタッフが作業を覚えてなくてもいいように箇条書きにしておき、作業内容をすぐ思い出せる状態にしておくことをおすすめします。また、箇条書きにしておくことで、スタッフが代わった際にもスムーズな引継が可能になります。
依頼内容の優先順位をつける
次に重要なのは、作業の一つ一つに優先順位をつけることです。依頼内容や部屋の状況によっては、どうしても時間内に全ての作業が終わらないことがあります。その際、“時間に終わらせて欲しい事”と“時間に余裕があればやって欲しい事”に分けて伝えるのが重要です。また、優先順位通りに完璧にそれぞれの作業をしてほしいのか、完璧ではなくてもいいので全ての作業をやってほしいのかを伝えるのも、上手な依頼方法の一つです。
スタッフが慣れるまで作業終了後にはフィードバックをする
家事代行サービスの多くはスタッフの研修をしているため、よく作業後にフィードバックを頂きます。フィードバックについては、少しでも気になった点があれば遠慮なく出来るだけ具体的にすることをおすすめします。フィードバックをすることで会社に作業の良し悪しを伝え、スタッフへ共有してもらうことができます。それにより次回以降の作業効率やクオリティが改善されます。また、スタッフも作業内容をしっかりと見られているという感覚になり、良い意味で緊張感を保つことができます。特に家事代行サービスを不在時に依頼している方は、直接作業を見ることができないため、フィードバックを上手に活用することで、安心して作業を受けられるようにしましょう。
スタッフには必要な道具や洗剤の不足がないか確認する
一度作業で現場を確認したら、清掃道具や洗剤の不足がないかなどを把握できるので、スタッフに聞いてみることも重要です。定期的にお伺いするスタッフであれば、家主より洗剤の残量を把握しているものです。「あの道具があればもっと効率が上がるのに」、と思っていても、お金がかかる事ですので遠慮して伝えられないスタッフもいますので、聞いてあげることで、より効率よく作業をしてもらうことができます。
まとめ
家事代行サービスは上手く作業の依頼をする事で、費用対効果を最大限高められます。上手に利用することで日々の生活が快適になり、満足度が上がります。
「お断りされやすいご依頼」を理解した上で賢く利用するようにしましょう。