家事の分担に対する考え方には、個人差があります。
ほんのわずかでも家事を手伝っていれば「分担」になる、半分以上は担っていないと「分担」にはならないなど、それぞれ境界線を持っているのではないでしょうか。
夫婦間でこの境界線に差があると、お互いに対しての不満が増えてしまいがちです。とはいえ夫婦双方が納得できる家事の分担とは、どのようなものなのでしょうか?
そこでこの記事では家事を公平に分担するための方法や一般家庭の家事分担の実情、妻・夫それぞれの家事に関するあるあるな不満などについて、解説します。
目次
世間の家事分担の実情(男女の割り振りが不公平)
「家事は分担しています」という話はよく聞いたり目にしたりします。しかし「分担」といっても割合はさまざま。蓋を開けてみれば、妻と夫どちらかに負担が偏り過ぎている、といったことも珍しくありません。
厚生労働省が2018年におよそ1万人の女性に行った「第 6 回全国家庭動向調査」では、家事分担に関するこんなデータが残されています。
- 妻が30~39歳の家庭の場合:妻が8~10割の家事を負担している→51.5%
- 妻が40~49歳の家庭の場合:妻が8~10割の家事を負担している→61.7%
この数値から、約半数以上の女性が「自分の負担割合が多い」と実感していることが伺えます。
また同調査では、妻が平日の間に家事にあてる時間の平均が263分(約4.3時間)なのに対し、夫は37分と大きく差が出ています。
これだけ差が出てしまうのは、分担している家事の内容に違いがあるから、と考えられるでしょう。
例えば妻が担当するのはご飯の支度や洗濯、家中の掃除など時間がかかるものばかりです。一方で夫が負担するのはゴミ出しや浴槽洗い、食後の片付けなど、短時間で済むものが多いようです。
家事分担に関しては妻の満足度が低い
食事・洗濯・家中の掃除といった3つの家事をこなす妻と、ゴミ出し・浴槽の掃除・食後の片付けの3つをこなす夫では、たしかにこなす家事の数は同じですが、負担には差があると言えるでしょう。
実際に「株式会社クレハ」が2020年に行った「共働き夫婦の家事シェア事情」に関する調査では、「現在の家事分担への満足度」として、夫の約16%しか不満を抱えていないのに対し、妻の約40%は不満を抱えているという数値が明らかになっています。
家事分担をしているといっても実際の労力が不公平であれば、お互いに不平不満もつのりやすくなるのではないでしょうか。
【妻の意見】家事分担における夫への不満
家事分担における妻から夫への不満は、多かれ少なかれ、どこの家庭にもあるものでしょう。
- 一部しかやっていないのにやった気になっている
- 妻が「やって当たり前」という認識
- 手際が悪い・こだわりが強い
その中でも調査の結果から推測できる、一般的な「妻から夫への不満」とはどんなものか、見てみましょう。
一部しかやっていないのにやった気になっている
妻側からすると、ウンウンと思わず共感してしまう夫への不満が、「一部しか家事をやらないのに家事分担をしているつもりになっている」というものではないでしょうか。
例えば「ゴミ出しをしています!」と言う夫がいたとします。ゴミを集積所まで捨てるまでには、家中のゴミをまとめて、袋をしばって玄関に持って行って、さらにゴミ箱に新しいゴミ袋をセットして……という行程が隠れているものです。
その行程を妻が負担しているのに、最後のゴミ出しだけをやって「分担している」と豪語する夫に、疑問や不満を抱く妻は少なくないでしょう。
妻が「やって当たり前」という認識
「家事は女性がやるもの」という固定観念に囚われている夫に、フラストレーションを抱く妻も多いのではないでしょうか。
男性は外で働いて、女性は家庭を守るというのは決して悪い考え方ではありません。しかしその考えをパートナー押し付けてしまうのは、夫婦間のわだかまりを産む原因となってしまいます。また、妻側からすれば「それならあなたが外で安心して働けるのは、誰のおかげなの?」と言いたくなる気持ちもゼロではないはず。
自分の価値観だけで夫婦の役割を決めてしまうと、価値観を押し付けられた方はつらさを感じてしまうでしょう。
手際が悪い・こだわりが強い
家事分担について妻が夫に持つ不満は、「家事をやってくれないこと」に関する内容ばかりではありません。「家事をやってくれるものの、掃除1つに時間をかけすぎる」「無駄な作業が多くて見ていてイライラする」というのも、妻側が抱きやすい不満です。
子育てや仕事で忙しい日々を過ごす主婦にとって、時間はお金と同じくらい尊く、求めてやまないもの。それなのに必要だと思えないこだわりや手際の悪さで時間を浪費する夫を見ていると、ついひとこと言いたくなってしまうものでしょう。
【夫の意見】家事分担における妻への不満
家事分担に関して、不満を抱えているのは妻だけではありません。
- やっているのに満足してくれない
- 自分のタイミングで家事をさせてくれない
- 仕事と家事の負担は別
夫側の不満にも注目してみましょう。
やっているのに満足してくれない
家事を手伝っているのに、さらにあれもやってこれもやってと押し付けられる……夫側の不満あるあるではないでしょうか。
仕事から帰って疲れている中、担当している家事をこなして一息。そんなときにさらに家事を追加されれば、うんざりしてしまうものです。家事を手伝っても満足してくれないことにフラストレーションが溜まり、次第に担当している家事に対してもやる気がなくなってしまいます。
自分のタイミングで家事をさせてくれない
決してさぼろうとしていたわけではなく、あとで家事をしようと思っていた……それなのに、妻に「なんでやらないの!?」と言われてしまう、というケースも少なくありません。
自分のタイミングでやらせてくれない、というモヤモヤ以上に、さぼっていると思われてしまうことがショックですよね。妻と夫の家事に対する優先順位に差があることで、生じてしまう衝突です。
仕事と家事の負担は別
ストレスの多い外仕事と自分のペースでできる家事では、心理的・肉体的負担に差がある、と考えている夫もいることでしょう。その結果、外仕事に加えて家事まで自分が負担するのはおかしい、と感じてしまいます。
労働に関して夫婦で価値観のズレがあることで、生じやすくなる不満と言えるでしょう。
家事分担が不公平!?公平化するための方法
家事分担の公平性は夫婦関係をよりよくするのに、大切な要素です。もし家事の分担が不公平だと感じているのであれば、次の内容を取り入れて公平になるように調節してみましょう。
- 家事の内容をリストアップ
- それぞれできそうな家事をピックアップ
- 残りの家事は臨機応変がベター
それぞれ解説します。
1. 家事内容をリストアップ
まず、1日に発生する家事をリストアップします。リストアップする際は、ただ家事内容だけを書くのではなく、その家事が完了するまでの行程まで詳しく書きましょう。
例えば風呂掃除であれば、「お湯を抜く」「洗剤の残量チェック」「シャンプーなどの風呂用具をどかす」「排水溝のゴミを取る」なども書き加えます。こまかく記載wpすることで、その家事1つにどれだけ時間と労力がかかるのか、想像しやすくなります。
2. それぞれできそうな家事をピックアップ
家事をこまかくリストアップできたら、次は夫婦それぞれが担当できそうな家事をピックアップしましょう。
まずは確実に毎日できそうな家事から埋めていくのがおすすめ。時間や日によってできそうorできなさそうな家事は、後回しにします。
それぞれの負担に偏りが出てしまう場合は、その分の代償を別の部分で補うルールを作ると良いでしょう。
例えば夫側の方が家事負担が少ない場合は「休日の家事は夫が少し多めに担当する」といったルールだと、負担の多い妻側も納得しやすいのではないでしょうか。家事以外にも「週末には必ずアイスを買ってきてもらう」「妻のお小遣いを多めにする」など、負担が増える方が納得できるような、ちょっとしたルールをプラスすると、家事分担の振り分けがスムーズに進みます。
3. 残りの家事は臨機応変がベター
振り分けができない家事に関しては、臨機応変が良いでしょう。気づいた方がやる、として役割分担を明確にしないことで「自分ばかり負担している」というフラストレーションを抱えにくくなります。
ただし「気づいた方」がいつもどちらかに偏ってしまわないよう、注意が必要です。もし偏ってしまった場合は「ここ最近は連続で自分がやっているから、明日はあなたがやってほしい」とパートナーに話してみてください。話してたところで相手に不満を口にされた場合、再度、家事分担の計画を立て直すタイミングです。
再び双方が納得できる家事分担のプランを、再び1から練り直してみましょう。
家事の分担を守ってくれない時の対処法とは
家事分担を夫婦で話し合って決めたはずなのに、パートナーが約束を守ってくれない、なんてことも考えらえます。
- なぜ守ってくれないのかを聞く
- 自分もやらない
- 家事全体の負担を減らす
いくら分担制度をしっかりわけても相手が守ってくれない場合は、次の内容を考慮してみてください。
なぜ守ってくれないのかを聞く
まず最初に、なぜ守れないのかを聞いてみましょう。理由によって、今後の対策方法が変わってきます。
例えば「疲れている」というのが理由であれば、疲れていてもできそうな簡単な家事を負担してもらう、もしくは休日のみやってもらう、など。
「やり方がわからない」の場合、やり方を教える必要があります。完璧にできなくても良い、ということも伝えておきましょう。
「そもそも自分が家事をやることに納得がいっていない」というケースも考えれます。その場合、諦めて自分がすべてを負担した方が早い、と考えてしまいがちです。しかしそれでは、自分で自分の首を締めることに繋がりかねません。
パートナーが家事に協力的な姿勢を見せてくれない場合、家事以外の分担を増やしてもらうのがおすすめです。例えば愛犬の散歩や子どもの世話、役所や郵便局への提出物の記入など、家事ではない部分で仕事を担ってもらいましょう。その後、感謝の言葉を口にしたり褒めたりすることも忘れずに。相手のモチベーションを上げて、少しずつ家事への協力を日常化してもらいましょう。
自分もやらない
相手が約束した家事をやらないから、仕方なく自分が代わりやっている……思い当たることはないでしょうか。
相手がやるべきことを自分がやってしまうと、相手はそれに甘えてしまいます。さらにその甘えは、次第に範囲を広げてしまう可能性もゼロではありません。
夫婦は助け合って生きていくものです。一人で家事を抱えて疲れているなら「【疲れた時の対策】母親が家事を休んでも良い3つの理由」の記事も参考にしてみてください。
どうしても家事分担ができない理由があれば別ですが、怠けや甘えで家事分担をしてくれないのであれば、心を強く持って、毅然とした態度で臨むことも必要なのではないでしょうか。
「あなたがやらないのなら誰もやる人がいない」と、自発的に動くのを辛抱強く待ってみるのも手です。
家事全体の負担を減らす
家事の分担に対して協力的ではないすべての理由の根底には、単純に「家事が大変だから」というのが挙げられます。
仕事で疲れた状態で家事をすることは、マラソンで走り切ったあとに短距離走が始まるようなものです。やる内容は違うものの、疲れた状態でさらに苦痛を感じることをやりたいとは思いませんよね。
しかしもし短距離走ではなく、ウォーキングだったらどうでしょうか。「やりたい!」とまでは思わないものの、心理的ハードルはぐっと下がるでしょう。
家事も同じで、ひとつひとつの負担を減らすことで抵抗が薄れやすくなります。「家事=大変・疲れる」のイメージを取り除けられれば、パートナーも家事の分担に協力しやすくなるでしょう。
家事の負担を減らすテクニックを活用しよう!
家事の負担を減らすといっても、具体的にどのような内容を取り入れれば良いのかわからないのではないでしょうか。
- 河川製品を活用する
- ミールキットを選ぶ
- 家事代行サービスを頼む
家事の負担を減らすには、家電・調理材料・サービスに注目するのがおすすめです。
家電製品を活用する
家電製品は年々便利になっています。近年ではお掃除を自動で行うお掃除ロボットや、材料を入れれば完成するほったらかし調理家電、乾燥までできる洗濯機などが人気です。
これらの家電の力を借りることで、家事の負担を大きく減らせます。金額の高さがネックではありますが、家事は毎日行うもの。毎日の手間が省けるのであれば、金額以上の価値があると言えるでしょう。
ミールキットを選ぶ
調理の手間を減らす方法として、ミールキットの選択もおすすめです。ミールキットとは分量の材料がすでにカットされており、調味料も添付された簡易調理食材です。袋から出して、炒めたり煮たりするだけで、料理が完成します。
料理は1日の家事の中でもとくに負担が大きい部分です。手軽でおいしく栄養価もあるミールキットを活用して、少しだけ家事をラクにしてみましょう。
家事代行サービスを頼む
家事の負担を減らすために、家事代行サービスを頼むのも良い方法です。家事代行サービスを依頼することで、しなくてはならない家事の母数を減らせます。家事の負担を減らせるだけでなく、家族との時間も確保できるでしょう。
またプロが行う家事は、素人がやるよりも効率的で成果が高いというメリットもあります。
毎日プロに依頼をするのは難しくても、疲れているときや忙しいときなどには活用してみてはいかがでしょうか。
周囲の目が気になる人は「家事代行は贅沢?考え方をアップデートして罪悪感を減らそう」の記事も参考にしてみてください。
まとめ:家事の分担がおかしい時は割り振りを見直そう
家事の分担は、お互いに感謝の気持ちが必要です。相手を思いやる気持ちがあれば、家事の分担が多少偏っても気にせずいられるでしょう。
思いやりの気持ちを持つためには、それぞれが「なぜ分担をしてほしいのか」「なぜ分担を拒否するのか」を把握することが大切。
また、分担表を作るのもおすすめです。「【家事分担表の活用法】共働き夫婦におすすめ方法をご紹介」の記事もあります。
毎日をより楽しく豊かにするために、双方が納得いく家事分担を行なってくださいね。